庭園に抱かれた都会の隠れ家。全16室の旅館「高輪 花香路」で叶う静謐な滞在

品川駅から徒歩で約5分。新幹線も停まるターミナル駅のすぐそばに、フォーブス・トラベルガイドで五つ星を獲得した宿があるのをご存知でしょうか。グランドプリンスホテル高輪の敷地内にたたずむ全16室の旅館「高輪 花香路」がその場所。約2万平方メートルの日本庭園に抱かれたこの場所には、都心であることを忘れてしまうような、静かな時間が流れています。【2025年12月時点情報】

Photo:Hiroaki Ishii
Edit&Text:Misa Yamaji(B.EAT)

このホテルの魅力

  • 都心にある庭園に囲まれた旅館。品川駅からすぐというアクセス良好な地で、フォーブス・トラベルガイドの五つ星獲得、「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド」加盟、世界水準のラグジュアリーな滞在ができる。
  • 宿泊者は専用のラウンジで迎えられ、到着したときから特別なおもてなしを受けることができる。
  • 約2万平方メートルの広大な庭園が季節ごとの花や樹木に彩られる。全16室の部屋はゆったりしたつくりで、庭を眺める優雅なひとときが過ごせる。
  • 宿泊者には、「ラウンジホッピング」のお楽しみも。敷地内にある4つのホテルのラウンジを巡り、それぞれの美食を、庭園散策とともに満喫したい。
  • 「高輪 花香路」のラウンジでは、10時から14時まで手挽きの抹茶体験ができる。自分で挽いた香り高い抹茶の記憶を、贅沢な旅館ステイのおみやげに。

渋滞知らずで辿り着く、都心の旅館

休日、少し遠出をして旅館でゆっくりしよう—そう思い立ってクルマを走らせたものの、高速道路の渋滞に巻き込まれ、かえって疲れてしまった。そんな経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

たまには高齢の親を旅館に連れていきたいけれど、長時間のドライブは負担が大きいと躊躇されている方もいらっしゃるかもしれません。

畳敷きの客室は次の間付きの旅館スタイル。

そんな方にこそ知っていただきたいのが、グランドプリンスホテル高輪内にある旅館、「高輪 花香路」です。

なんといっても格別なのが立地のよさ。品川駅高輪口からわずか徒歩約5分に位置するこの旅館は、都内各所からクルマを走らせる楽しみもありながら、ストレスを感じることなく到着できるちょうどよい距離。フォーブス・トラベルガイドの五つ星に輝く、まさに「都心の隠れ家」と呼ぶにふさわしい存在です。

由緒ある高輪の地に抱かれて

「高輪 花香路」のある高輪は、その土地に刻まれた歴史の深さも相まって、都心にもかかわらず落ち着いた雰囲気があります。

ホテルの敷地内にある庭園には思わずシャッターを切りたくなるスポットが点在。

高輪という土地の歴史を紐解けば、江戸時代、東海道の品川宿に近い「江戸の入り口」として栄えた頃にまで遡ります。風光明媚な高台には大名や旗本の別荘が立ち並び、明治に入ると、皇族や政財界の要人たちがこぞって邸宅を構えるようになりました。

1950年前後、西武鉄道がこの一帯——竹田宮邸、北白川宮邸、高輪毛利邸の土地と建物を取得。1953年に竹田宮邸の建物の一部を活かすかたちで「高輪プリンスホテル」(現・グランドプリンスホテル高輪 貴賓館)が開業しました。貴賓館として今も残る洋館は、100年以上の時を経た今も、往時の格式を静かに伝えています。

竹田宮邸の建物を活かした貴賓館。

そんな由緒ある土地に建てられた「グランドプリンスホテル高輪」に2016年に誕生した全16室の小さな旅館が「高輪 花香路」。大規模ホテルの敷地内にありながら、独立した旅館として、静謐な雰囲気を味わえます。ホテルのサービスと旅館の趣、その両方を享受できるユニークな場所として、知られています。

約2万平方メートルの庭園が織りなす四季

「高輪 花香路」の滞在を特別なものにしているのが、約2万平方メートルにおよぶ日本庭園の存在です。

港区指定有形文化財に登録された山門。

ザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪――3つのホテルに囲まれたこの庭園は、皇居新宮殿の作庭も手がけた楠岡悌二氏によるもの。鯉の泳ぐ池、四季折々の草花に加え、観音堂、鐘楼、山門といった歴史的建造物が点在し、これらは港区指定有形文化財にも指定されています。

敷地内に多種多様の木々が森となって木陰をつくる。

観音堂は、鎌倉時代中期に建てられた奈良県・長弓寺から1954年に移築されたもの。お堂には、災禍から人びとを守るご利益があるとされる十一面観音半迦像が安置されています。鐘楼は奈良県奈良市の念仏寺より1959年に移築。大晦日には宿泊者108組限定で除夜の鐘をつくことができ、ホテルのシンボルとして親しまれています。

1959年に移築された鐘楼。

とりわけ17種約210本の桜が咲き誇る春の景色は格別です。庭園を見下ろすお部屋からは、眼下一面にピンクの絨毯が広がる景色を独り占めできるとあって、この時期の予約は早々に埋まってしまうのだとか。この美しい庭園を目当てに、毎年訪れるリピーターも少なくないといいます。

旅館ならではの、くつろぎの時間

「高輪 花香路」という名前には、「日本庭園に咲く四季折々の『花々』の『香り』を、『小路』の散策とともに楽しんでいただきたい」という想いが込められています。

ゲストは、グランドプリンスホテル高輪のベルデスクに声をかけ、宿泊者しかアクセスできないエレベーターでラウンジのあるフロアへ向かう。

そんな思いは、全16室すべての客室に庭園内に咲く花の名がつけられていることからも伝わるでしょう。部屋には季節の花が生けられ、客人を静かに出迎えてくれます。客室だけでなく、エレベーターホール前の吊りの花入など、そこかしこに花のしつらえが施された空間はまさに「花の香る小路」そのものです。

エレベーターホールの小さな石庭。

チェックインは、宿泊者専用のエレベーターで「ラウンジ 桜彩」へ。一般のゲストが立ち入ることのない静かな空間で、まずは生菓子とお茶で一息つきます。旅の疲れをほぐすような、穏やかな時間。これから始まる滞在への期待が、静かに膨らんでいきます。

「高輪 花香路」の「ラウンジ 桜彩」。

全16室の客室は5つのタイプに分かれ、いずれも50平方メートル以上のゆとりあるつくり。もっともコンパクトな和室スイートでも50.1平方メートル、最上級の花香路スイートは100.8平方メートルと、十分な広さが確保されています。
中でもおすすめは、今回滞在した「和室ガーデンスイート」。約60平方メートルの広々とした空間は、靴を脱いで上がる畳敷き。次の間にはテーブルがしつらえられ、窓の向こうには庭園の緑が広がります。地方の老舗旅館さながらのしっとりとした雰囲気があります。

3名まで宿泊できる「和室ガーデンスイート」。

ベッドはシモンズ製で寝心地は申し分なく、浴室は庭園を眺められるビューバス。伝統的な和のしつらえと現代の快適性が見事に調和しているのも、あらゆる世代に嬉しいポイントです。

「和室ガーデンスイート」のお風呂は庭園を望むビューバス。

客室やラウンジのあるフロアはDRT(Dressing Room Type)と呼ばれるスタイルで、スリッパのまま移動できる気楽さも嬉しいところ。旅館に来たのだから、堅苦しさは脱ぎ捨てて、ただゆったりと過ごしたい―そんな願いを叶えてくれます。

4つのラウンジを巡る、贅沢なはしご

ここに宿泊する醍醐味のひとつが「ラウンジホッピング」です。

ザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、そして高輪 花香路。広大な敷地内に建つ4つの施設のラウンジすべてを利用できるのは、「高輪 花香路」の宿泊者だけに許された特権です。

カクテルタイムにラウンジでふるまわれる、日替わりのおつまみと利き酒セット。

夕方のカクテルタイムになったらホッピングのスタート。「高輪 花香路」の「ラウンジ 桜彩」では、小さな八寸のようなおつまみを日本酒とともに。グランドプリンスホテル高輪の「クラブラウンジ 花雅」では、ビールサーバーから注ぐ一杯を。さくらタワーの「エグゼクティブラウンジ」では、イタリアンテイストのアペロを楽しみ、グランドプリンスホテル新高輪の「クラブラウンジ」では、中華料理の一品やデザートが待っています。それぞれに合わせるお酒も種類豊富で、どこで何をいただこうかと迷う時間さえ楽しい。

グランドプリンスホテル高輪のラウンジからは美しい庭園の景色が窓いっぱいに広がる。

ラウンジからラウンジへの移動は、自然と庭園を通ることになります。各棟が庭園を囲むように建っているため、次の場所へ向かうたびに、緑のなかを歩くことになるのです。夕暮れどきの庭園を散策しながら、次のラウンジへと向かう。その道すがら、池の鯉が跳ねる音が聞こえたり、木々の間から夕陽が差し込んだり。ラウンジでの美食と、庭園の散策。このふたつが自然に織り交ざる体験は、「高輪 花香路」ならではの贅沢といえるでしょう。

お腹を満たしながら足の向くままに庭園を巡れば、いつの間にか夕食の時間を忘れてしまうほど。それもまた、この滞在の楽しみ方なのかもしれません。

朝は、部屋で静かに迎える

翌朝の朝食は、ラウンジでいただくか、部屋食かの二択。ここはぜひ部屋食を選んでください。

客室で庭園を見下ろしながらゆっくり朝食を食べる贅沢。

次の間のテーブルに、丁寧に仕立てられた和朝食が運ばれてきます。窓の外には、朝の光を受ける庭園。誰にも邪魔されない静かな空間で、大切な人と談笑しながらゆっくりと箸を進める—これこそ、旅館に泊まる醍醐味です。

チェックアウト前の、もうひとつの楽しみ

チェックアウト前には、ぜひ「ラウンジ 桜彩」を再び訪れてみてください。朝10時から14時まで体験できる「手挽きの碾茶で仕上げる抹茶スイーツ」は、人気プログラムです。

「手挽きの碾茶で仕上げる抹茶スイーツ」の体験時間は10時~14時。

抹茶の原料である碾茶を石臼に入れ、ゆっくりと回すだけ。体験はいたってシンプルですが、日本人でも、碾茶から抹茶を自分の手で挽いた経験のある方は少ないのではないでしょうか。使われるのは京都・福寿園の上質な碾茶です。石臼を回すたびに、挽きたての抹茶の香りがふわりと立ち上る。その芳醇さは、既製品の抹茶とはまるで別物です。

挽きたての抹茶は、あんみつにかけていただきます。鮮やかな緑と、みずみずしい香り。自分の手で挽いた抹茶を味わうという、ささやかだけれど贅沢な体験。訪れていた海外からのゲストも、楽しそうに石臼を回していました。

都心で叶える、“旅館”という贅沢

「高輪 花香路」は、2025年5月、イギリスに本部を置く「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド」にも加盟しました。フォーブス・トラベルガイドの五つ星と合わせその品質は世界水準のお墨付きとあり、海外のゲストも多く宿泊しています。

季節の花が生けられているのも旅館らしい小さな心遣い。

渋滞を気にすることなく、さっとクルマを走らせて、品川へ。駐車場にクルマを停め、数分歩けば、そこには約2万平方メートルの庭園と、静寂に満ちた時間が待っています。
週末のリフレッシュに。親御さんへの孝行旅に。あるいは大切な人との特別な時間に。都心にいながら「旅館」でゆったりとした時を過ごすことができる—そんな贅沢を、「高輪 花香路」は叶えてくれます。