刺激と癒し。都会のアンビバレントな魅力に満ちたホテル「東京エディション虎ノ門」

マリオットグループにおける最高級ホテルブランド「エディション」の日本一号店として誕生した「東京エディション虎ノ門」。コンセプトはカリスマホテリエのイアン・シュレーガー氏が手がけ、インテリアは世界的建築家の隈研吾氏が担当。ダイニングはイギリス人スターシェフが監修と世界に誇るクリエイターたちが結集して作り上げた今までにないライフスタイルホテルです。感性を揺さぶる刺激と癒しに満ちた世界をご紹介しましょう。

Text:Misa Yamaji (B.EAT)

ソーシャルなつながりのなかで感性を開くロビー

突然ですが、人の心を捉えてしまう魅力的な人物と聞いてどんな人を思い浮かべますか?

それは、決して品行方正で真面目なだけの人ではないでしょう。知性はもちろんユーモアもあり、エモーショナル、そして好奇心に満ちてオープンマインド。人としての個性や信念が重んじられる自由な時代をしなやかにサバイブする。そんな現代に生きる魅力的な大人たち・・・を体現したようなホテルが「東京エディション虎ノ門」です。

大通りから一本入った高台に立つビルの上階にあるホテルは、知る人ぞ知る都会のなかの隠れ家。地上階のエントランスは、このホテルのことを知っている人にのみ開かれているかのように、ひっそりとしたたたずまいです。一方、エレベーターに乗ってロビー階に到着するとそこは別世界が広がります。

“空中のジャングル”と形容したくなるような、緑にあふれたロビーの先に見えるのは東京タワー。真ん中にあるLobby Barを中心に、観葉植物でゆるやかに仕切られた空間には、ラップトップを開いて仕事をする人、カクテルを傾けながら談笑する人と、ゲストが思い思いに時間を過ごしています。

ロビーフロアにある、「Lobby Bar」。

「東京エディション虎ノ門」が掲げるテーマは“イースト・ミーツ・ウエスト”。ロビーフロアの隈研吾氏による印象的な木のシーリングに、ニューヨークのナイトシーンを切り取ったかのようなバーカウンターというミックスカルチャーなインテリアはその象徴でしょう。そして、“世界の東西から人が集い”プライバシーを尊重しながらも、ゆるやかに他者へつながる余地もある心地よさこそがここの魅力なのです。

“品行方正なだけ”のラグジュアリーホテルとは毛色が違う「エディション」は、伝説的なホテリエであるイアン・シュレーガー氏とマリオットグループがタッグを組んで作った新しいライフスタイルホテルです。ちなみに、イアン・シュレーガー氏とは、ニューヨークに1970年代に伝説のクラブ「STUDIO 54」をオープンし一躍注目を集めた人物。それ以降は、「モーガンズニューヨーク」や「グラマシーパークホテル」などの個性的なブティックホテルを次々と誕生させていきました。

そんなシュレーガー氏が創る自由でクリエイティビティあふれるエキサイティングな空間やサービスに、マリオットグループの上質で確かなオペレーションをミックスし、個性的で刺激に満ちながらも、心地よく滞在できる“ライフスタイルホテル”を目指したのが「エディション」なのです。

英国のセレブリティシェフがパートナーシェフを務めるダイニング

刺激的な体験は、ダイニングでも存分に味わえます。自身がプロデュースして2006年によみがえらせた「グラマシーパークホテル」のメインダイニングに、日本で人気の中国料理「Wakiya」を入れるなど、ホテルダイニングにも知的好奇心をくすぐる自由さを発揮してきたシュレーガー氏。

ここ、「東京エディション虎ノ門」のシグネチャーレストラン「The Jade Room + Garden Terrace」のシェフとして白羽の矢が立ったのは、ミシュランガイド二ツ星を英国史上最年少で獲得した経験を持つトム・エイキンズ氏でした。

コース料理 ディナー18,000円(税込み・サービス料別)の一品「帆立、キャビア、かぶ、出汁」

トム・エイキンズ氏は、アブダビにて3つの「エディションホテル」のダイニングをシュレーガー氏とともに立ち上げ、成功を収めてきました。そんな氏が「東京エディション虎ノ門」で監修するのは四季が豊かな日本の食材を、西洋的な発想と技術でコンテンポラリーに仕上げた料理。

例えば、コースの一品、「帆立、キャビア、かぶ、出汁」は、生の帆立に発酵調理したかぶとフレッシュなかぶで酸味や食感のアクセントを加え、醤油やみりんで真空調理した昆布でどこか日本的な味わいを重ねています。真ん中に流したのはイカでとったコンソメ。これがまた、魚醤のようなオリエンタリズムあふれるフレーバーとなり、全体を引き締めています。

「The Jade Room + Garden Terrace」の店内

現場シェフを任されているリチャード・マクレラン氏によると、日本の細やかな四季を表現したいと、コースには野菜を多用しているとのこと。また、発酵などのイギリスと日本の共通点である食文化を取り入れ、軽やかでライトな料理でありながら発酵の酸味や複雑味で立体感を出している料理が多いのも特徴でしょう。

ちなみに、こうした現代的な料理をいただくのは、ウォールナットのダークブラウンの壁が醸し出すダークで落ち着いた雰囲気のなかに、翡翠色のスツールが浮かび上がるような神秘的なダイニング。大人の社交場というのにふさわしい空間のなかで、日本、レバノン、ニューヨークなどのワインなどが登場するワインペアリング“ディスカバリー”とともに軽やかな料理をいただく時間は、いかにも今の時代ならではのダイニングエクスペリエンスといえるかもしれません。

「The Jade Room + Garden Terrace」のテラス席は季節限定でオープン

また、秋まで開かれる緑豊かなGarden Terraceもぜひ訪れたい場所。地上140メートルの高さから東京タワーを目の前にしながら街を見下ろすロケーションは、ここだけのもの。3月末から期間限定でオープンする特別なレストランでは、シェアリングスタイルの小皿メニューが提供されます。

禁酒法時代まで続いたアメリカのカクテル黄金期にタイムスリップ

そして、シュレーガー氏が作りだす、洗練された遊び心の真骨頂を感じられるのは、ホテルのシグネチャーバー「Gold Bar at EDITION」でしょう。こちらのバーはなんと、ホテルから一度外に出なければ辿り着けない隠れた場所にあります。

「Gold Bar at EDITION」のカウンター

一見扉とはわからない黒いエントランスを入ると、祭壇のようなカウンターが空間の奥に厳かに光っています。日本の建築に使われている“焼杉”からインスピレーションを得たという黒塗りの木の壁、黒大理石の暖炉に金箔のアートが配されている空間は、海外の秘密クラブのよう。

ここは、1860年代から禁酒法時代まで続いた、アメリカのカクテル黄金期「ゴールデンエイジ」がテーマ。カクテルバーとして、常に16種類前後の趣向を凝らしたカクテルを味わうことができます。

「Two Faces」のカクテル。左からPsychedelic/Tipsy Riceman/Sweet&Rose/5AM In Golden Gai/Curious Cacao Fizz/Revolutionist各2,300円(税・サービス料込み)~

バー・ディレクターの齋藤秀幸氏をはじめ、海外経験の豊富なバーチームが作り出すカクテルは、それぞれに刺激的なストーリーを内包するユニークな世界観があります。

この日、いただいた「Two Faces(二面性)」をコンセプトにしたカクテルは、物事が持つ二面性―美しさと醜さ、光と影、強さと弱さなどにフォーカスし、カクテルで表現したもの。ゲストにはまずメニューブックとブラックライトが渡され、好きなカクテルを選びます。そのまま書かれたメニューから選ぶのみかと思いきや、ライトを照らすとその裏側の顔を表現したカクテルのメニューが浮かび上がるという趣向。

アンビバレントな要素をも持つものに危うい魅力を感じてしまう、人間の性にあらがえない世界に気がつけば引き込まれてしまう……。そんな遊び心あふれる刺激的で魅惑の体験は特別なものになるはずです。

木と緑に囲まれた、シンプルな癒しのゲストルーム

レストランにバー、ロビーと刺激的でユニークな体験ができる「東京エディション虎ノ門」ですが、ゲストルームはまったく対照的なシンプルでナチュラルな造りです。

隈研吾氏がデザインしたインテリアは、氏のアイコンともいえるナチュラルな木材をバスルームとベッドルームの仕切り、ベッドボードなどに効果的に使い温かみを出す一方、バスルーム&ドレスルームはクリーンな白いタイルでシンプルかつミニマムに構成。

白と木のナチュラルカラーの部屋は、パブリックエリアでの刺激的な体験をしたあと、心ゆくまで羽を休めるのにふさわしい静けさに満ちた癒しの空間になっています。

シティビューのテラス付きキングルーム

部屋は東京タワーが間近に見えるタワービュー、植栽が施された壁に囲まれたプライベートテラス付きのお部屋など、いずれもこの場所ならではの魅力ある景色が広がります。

感性を沸き立たせるような刺激と、からだを芯から休める癒し。「東京エディション虎ノ門」は現代人が必要なアンビバレントなエッセンスを体験できるホテルなのです。

このホテルの魅力

  • マリオットグループにおける最高級ホテルブランド「エディション」の日本一号店として開業。
  • インテリアは世界的建築家の隈研吾氏が担当。ロビーフロアの印象的な木のシーリングに、ニューヨークのナイトシーンを切り取ったかのようなバーカウンターというミックスカルチャーなインテリアが象徴的。
  • 東京タワーが間近に見えるタワービュー、植栽が施された壁に囲まれたプライベートテラス付きのお部屋など、ユニークな客室をラインナップ。
  • シグネチャーレストラン「The Jade Room + Garden Terrace」のシェフは、ミシュランガイド二ツ星を英国史上最年少で獲得したトム・エイキンズ。
  • シグネチャーバー「Gold Bar at EDITION」は、ホテルから一度外に出なければ辿り着けない隠れた場所にある。